sugar spot



「…ち、違います…!!」

「同期まじで愛しいよな〜〜でも俺は付き合うとかそういう次元すらも飛び越えたLOVEを抱えているというか、」

焦ってすぐ否定したのに、古淵さんはどれだけ同期が好きかを語り始める。





待って、違う、そんなんじゃ無い。


焦りばかりがどんどん募っていく中で、私は何故だか真正面の壁のことだけは見られない。



___"否定しないと"

そればかりが先行していく。


「…ど、同期だけは絶対無いです!!」


そうして、なんとか必死に告げたら、
古淵さんはきょと、と目を丸くして。



「あ、なるほど梨木っちは同期というか
オフィスラブに憧れてる感じか〜!」

と、それはそれで見当違いが優勝している見解を示してくれた。


……でも、とりあえず、もうそれで良い。


ちひろさんが「古淵、早く食べないとパスタ伸びるよ」と話を変えてくれて、立ち消えた話題に心底ホッとした。



何故だか分からない。

考えたくも無い。


"え!!!?梨木ちゃんも同期ラブしたい派!?"


だけど、そんな派閥に入ってるなんて、
目の前の能面にだけは絶対に思われたくない。



ちらっと誰にもバレないように、視線を少し前に向ければ、能面はまるで先ほどまでの私と古淵さんの会話なんて気にも留めない風に、綺麗な所作でパスタに手をつけていた。


こいつの耳は、飾りなのだろうか。


目の前の男が何も感情を動かしていないことに気づいて、また苛立ちが顔を出してしまう自分が、本当によく分からない。








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