sugar spot
「…あの2人、仲良しだよなあ。」
ちひろさん達を見つめている私に気付いたのか、南雲さんが同調しか無い感想を零す。
「はい、私、お2人のことついさっき知りました。」
「ああ、そうなの?」
「仕事でも支え合ってて、
恋人としても仲良しなんて、凄いですね。」
私には、考えられない。
…いや。
考えられないって、そもそも"誰と"のことだ。
自分に突っ込みを入れつつ視線を少しずらすと、能面男が、瀬尾さんに振られた古淵さんに恐らく飲みに行くことを誘われているのか、無表情のままに首を横に振っている。
無表情というか、機嫌悪そう。
先輩からの誘いなんだから、断るにしても
もうちょっと愛想良くやれよ。
「……案外、なれるかもよ。」
「え?」
「梨木さんと有里君も。あの2人みたいに。」
ふ、と笑った南雲さんは、垂れた瞳が細まるとより一層その眼差しも柔らかくなる。
だけど穏やかな声で告げられた予言には、賛同はできない。
「な、ならないですよ…!!」
「そう?」
「そもそも私は同期同士のそういうのは考えられないので!!!」
「え?仕事でサポートし合える関係ってことね。
"そういうの"って何のこと?」
「……」
「……」
「…………いえ、何でもないです。」
必死に否定した私が、馬鹿みたいだ。
顔がまた熱を帯びたけど視線を逸らして、話も一緒になんとか逸らそうとしたら、隣で愉快に笑われている。
「梨木さん面白いな。」
「南雲さんは案外、意地の悪いことされますね。」
「なんか、梨木さん、妹と同い年だからなのかつい揶揄いたくなるなあ。」
「……」
それ、なんて不運なんだろう。
というか理由になってない。
「…そもそもお互い、まず、興味が無いので。」
「…ふーん?そうなんだ。」
私がそう伝えると、南雲さんは
それ以上は何も言わなかった。
「(興味無い男が、あんなに不機嫌な顔でこっちの様子伺ったりしてくんのかな。)」