sugar spot

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「初めまして、いつもお世話になってます。
広報宣伝部の香月です。」

「初めまして…!新入社員の梨木と申します!」

「梨木 花緒さんですね。よろしくお願いします。」

名刺を受け取って、爽やかに微笑んだ香月さんは、そのまますぐ側の椅子を指し示して「どうぞ」と優しく誘導してくださる。

落ち着いたダークブラウンのスーツに身を包んだ彼は、受け取った名刺に示された"課長"の役職に驚いてしまうほど若い方だった。


「枡川さんがこの間アポイントのお電話の時に仰ってた通り、フレッシュさ溢れてますね。」

「そうなんです、見習いたいです。」

私が名刺交換するのを見守ってくれていたちひろさんと隣同士に腰掛けつつ、自然と自分が今いる空間を見渡してしまった。

エントランスを通された時から、フローリングや壁の色、デスクの配置など、開放感のあるオフィスに目を奪われっぱなしだ。


「……良いオフィスですよね。」

「、あ、すいません…!キョロキョロと…」

そんな私に気付いた香月さんに咄嗟に謝罪すると、気にして無いと表すような穏やかな笑みを向けられた。


「枡川さん達のお陰で、本当に素敵なオフィスに生まれ変わってます。」

そして真っ直ぐ伝えられた言葉に、隣の枡川さんが嬉しそうに微笑んでいる。

この××社のオフィスリニューアルにコンペの時から携わった枡川さんは、チームリーダーの役を立派に務めていると部の人達から聞いた。

移転ではなくリニューアルなので、スケジュールを立てて少しずつ工事を進める準備も、双方の会社の連携が必須になる。
特に問題なく、あと少しで全ての工事が完了する予定らしい。

「最後までよろしくお願いします。いよいよ終わるんだと思うと寂しいです。」

「…保城(ほうしろ)も、寂しがるだろうな。」

(つむぎ)さん、今日いらっしゃいますか?」

「はい、多分今、個室スペースで作業してると思いますよ。後で会いに行ってやってください。」

「…そうですか、分かりました。」

やはり嬉しそうなちひろさんは、会話を聞いている私に気づいて「保城さんは、このリニューアル案件で私がずっとお世話になってる天使みたいな方だよ。」とこっそり教えてくれた。

この会社には、ちひろさん曰く、"神"が居て、"天使"が居て、凄いなと思っていると目の前でテーブルを挟んで座る香月さんと目が合った。


「…緊張されてますか、梨木さん。」

「え、」

「相当肩に力入ってるなと思って。」


それは、勿論そうだ。
ちひろさんの担当先を一緒に同行させてもらう度に。
彼女が各会社の担当の方と築いてきた絆や、信頼を目の当たりにする度に、緊張感が自分の身体に纏わりつく。

"私も、こうなれるのだろうか。"

そして、そういう考えにどうしても至る。


「…はい。でも、ご迷惑おかけしないよう精一杯頑張りますのでよろしくお願いします。」

「え、ご迷惑おかけしちゃ駄目ですか。」

「……え?」

座りながらではあるが深々とお礼をした私に飛んできた次の問いかけはあまりに予想外で、間抜けな声と共に思わず顔を上げた。
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