sugar spot
そこにはやはり、出会った時から何も変わらない笑顔を向ける香月さんが居る。
「…俺は、迷惑かけないって言えないなあ。
今までも枡川さんに相当迷惑かけてますし。」
「え!?そうですか?かけてきたのはこちらな気がしますが。」
「まあかけて、かけられて、という感じですか?」
「……や、やはりかけてますよね…
自覚はあります…」
ちひろさんが隣で肩をすくめて表情を苦くする様子に、香月さんは再び楽しそうに笑う。
「でも枡川さんはいつも全力ですからね。
安心してお任せしていました。」
「走りまくって、更に激突しまくりますけどね。」
「たしかに。」
ちひろさんの前世は猪か何かだったのだろうか。
お2人の和やかな会話を聞いていると、再び香月さんからの視線に気がつく。
「……梨木さん。迷惑かけない、って最初に宣言して、お互いそこにばかり注力してしまうと、やっぱり遠慮が生まれてしまいます。」
「……、」
「俺は、勝手に御社とはこれからも、本当に大事なら多少厄介なことでも遠慮なく言うし、言われるし、そういう関係でいられたらと思ってます。
面倒ですが、付き合ってくださいますか。」
「………はい、」
よろしくお願いします、の言葉はなんだかちょっと震えてしまった気がする。
安堵とか、嬉しさとか、そういうものでも涙が出そうになるんだと、少しずつ力の抜けていく身体で感じていた。
「やっぱり香月さんは神なんですよねえ。」
「なんですかそれ。」
ちひろさんの言葉に、内心首がもげそうなくらい頷きながら、私もいただいた名刺には"神"とメモすることを決めた。
「リニューアルが終了した後も、ずっと御社とのお付き合いはアフターフォロー含めて続いていくと思っていますので。よろしくお願いします。」
「勿論です。梨木さんもよろしくお願いします。」
「はい!!」
思ったより大きな声が出て、恥ずかしさに口を覆ったら「こういう素敵なフレッシュさが、央にはほんと、皆無だったよなあ。」と、なんと瀬尾さんの大学の先輩でもある香月さんが、ぼやいていた。