sugar spot
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黙々とパソコンでデザインを作った後、この静寂の空間の中で複合機が活発に動く音だけが響く。
亜子さん達がいた時は、フロアにちらほらと人が居たけど、もうすっかり私とこいつしか残っていない。
男からの、間違えた、亜子さん達からの差し入れを食べつつ、この気まずい沈黙をかき消すために、とにかく目の前のタスクに没頭しようと、息を吐き出す。
「_____椅子。」
「……え?」
「営業2課は、学校とか公共施設への仕事が多いから、古淵さんと外回りする得意先も大体そんな感じで、この間、椅子の搬入、立ち会った。」
「……、」
「おい。手、動かせよ。」
突然話を始めた男の背中を振り返って見つめていたら、視線に気づいたのかとても不服そうな表情を携えて指摘を受ける。
なんだこいつ。お前が話しかけてきたんだろ。
「“職員室の椅子を全部取り替えたい“って、小学校からの要望で、」
「え、それより待って。
あんたもう家具搬入の立ち会いもやったの。」
「ああ、お前と違って優秀だから。」
「……」
後ろからお殴り申し上げて構わないのだろうか。
「……発注受けたのはうちの定番商品。
椅子の背もたれのカラーは青色指定で、30脚。」
「ふうん。」
「…当日学校で、到着したトラックの中身見たら、
椅子は全部、赤色だった。」
「え。」
「全部、見事に違う色の椅子が届いてた。」
「……それ、やばいんじゃないの。」
いざ搬入しようとしたらお客さんが求めてる家具と違うものが届いてるなんて、大問題だ。