sugar spot
思わず「すみません」と謝罪した私に、目の前の彼女は何度か瞬きをして、それから少し恥ずかしそうに眉を下げる。
「…でもこれ、就活中も勿論話をしましたが、
実感できるようになったのなんか最近です。
志望動機なんて1番難しいです。
“これからそう言った理由を知っていくための宣言“、みたいな気がします。
やりたいことが最初から的確に定まってる人は凄いですけど私は全然、そうじゃなかった。
正直、でまかせも必死に沢山言いました。
…就活されてる方にあんまり、
言うべき話ではないですけどね。」
「…だけど“バカ正直“は、
就活には必要ないそうです。」
つくっていると自分でも分かるくらい下手な笑顔を浮かべた。
やはり、就職活動はそういう場所なのだ。
色々と練り直さなければと心で決意を新たにすると、
「本当の理由も、折角なので伝えておきます。」
と、枡川さんは笑顔のままに言葉を続ける。
「…?」
「私、うちの会社がある近辺で
どうしても営業の仕事したかったんですよ。」
「営業の仕事に、興味があったんですか?」
「………孤独のグルメ、分かりますか?」
「は?」
“先輩社員の方にも礼儀は忘れず“
自分のなんとも気の抜けた返事に、
またセミナー講師の女性の顔が浮かんでしまった。
「…孤独のグルメ、全シーズン観てるんですが、会社のある近辺にね、絶対行きたいお店が何軒かあるんです。営業になれば外ランチで沢山通ったりできるかなって。
なんか渋くて、格好いいじゃないですか。」
「……」
ポカン、と口を間抜けに開けた私に、「あ、ドン引きされている」と、やはり楽しそうに彼女は笑う。