sugar spot
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「…梨木ちゃん。」
いつの間にかトリップしていた私を呼ぶ声。
視線の先のあの頃と何も変わらない優しい眼差しが、
未来が見えなくて不安を抱えた私の心の支えだった。
「私も出来る限りのサポートはする。
梨木ちゃんのこと、
絶対いつでも助けたいって思ってる。
…でも傍にいられなくなったら
そうはいかない時もきっとある。
梨木ちゃん。
そういう時、本当に同期はかけがえのない存在だよ。有里君のこと、大事にして、助け合ってね。」
そしてやはり、あの頃と何も変わらない言葉。
"かけがえのない同期"
そう言われれば言われるほどに、
あの腹立たしい男を、思い出したくは無い。
「……」
「梨木ちゃん、顔。険しすぎる。」
「すいません、意図せず歪みました。」
「梨木ちゃんは笑った顔が可愛いよ。」
「あの男に笑うエネルギー、無駄なんです。」
困ったなあ、と相好を崩すちひろさんに、
伝えてしまいたい言葉がもう、そこまで込み上げる。
まだまだ私、ちひろさんと働きたいです。
だって全然、追いつけてない。そんな兆しもない。
分からないことだらけでミスも沢山してしまう。
外回りだって、まだろくに
1人でやったことも無いです。
不安に、押しつぶされそうです。
『…だから、自分の気持ち以外で気がかりがあるとしたら、1番大きいのは、やっぱり梨木ちゃんのことだった。』
___だけど。
この人の足枷になる自分は、もっと嫌だ。
「…ちひろさん。私、頑張ります。」
「……、」
「頑張るので、大丈夫です!!」
全てを飲み込んで、なるべく明るく告げたそれに含まれた強がりは、彼女にも伝わってしまっているかもしれない。
それでも数回の瞬きの後、綺麗な瞳を三日月に変えて微笑んだちひろさんは「ありがとう」と、お礼を言ってくれた。