ツインレイ⋅⋅⋅唯一無二
(32)あれから③

••舞桜


母親の両親。
私の祖父母に当たる

その二人が亡くなったと
住所だけを母に知らせていた為
連絡がきた。

かわいがって貰っていた祖父母。
葬儀に出席した。

そこで、父親に会うが
まだ、わだかまりがあり
話をすることもしなかった。

顔立ちが変わったように思えた。
痩せてもいたが······

私達家族をバラバラにした
張本人。

母や私も原因はある。
だが、美桜に対しての27年もの間の
行動や言動が許せなかった。

あんな理由で。
あんな些細な事で。
人の人生を·····と思うと。

もっと重大な
大変な事があったなら
それでも決して行って良いわけではない
理由を知った美桜を思うと
たまらない。
姉である私は、助ける事もせずに
情けない人間だとつくづく思う。

こちらに帰る事を伝えていた友人達と
北海道に戻る前にランチをする。

待ち合わせ場所へと行き
近況を報告しあってワイワイ。
 
離婚したことも
北海道で暮らしている事も
知っている友人三人。

心配してくれたり
一緒に泣いてくれたり
怒ってくれたり
私が妹にやってきた事には
驚き、叱ってくれた。
謝れる時が来ると良いね
と、言ってくれて
私は、大きな声で泣いてしまった。

友人達も一緒に泣いてくれた。
皆がいてくれて良かった。
本当に良かったと思った。

慶が好きで慶と結婚した時
心配されながら結婚式に出席してくれた。

そんな三人と食事をしていると
カフェのテラス席から
英語が飛び交っているのが聞こえて
そちらを向くと
慶?
涼叔母さんも見える
涼叔母さんの横に男性がいる。

一緒のテーブルに慶がいて
少し覗きこむと
  み····お··?

慶は、美桜と下を向きながら
話しをしている。
ん?と思っていると
慶が膝に男の子を乗せた。

美桜は、その子の頭を撫でながら
優しげな眼差しで話し
慶と二人で微笑んでいた。

美桜のあんな顔も
慶のあんな顔も
······はじめて····見る·····

涼叔母さんも一緒にいる男性も
ニコニコしている。

私が、ぼぉーっとしていたからか
「まおっ?舞桜?まお?!」
と、呼ばれていたらしく
ん?と、みると
「どうしたの?」
と、訊かれて
三人とも慶を知っているから
「えっ、うん。
外のテラスに妹と慶が········」
と、言うと三人は、
バラバラにちらりとテラスを見て
「舞桜、大丈夫?」
と、心配顔
「うん。大丈夫。
話しかける事もできないけどね。」
と、言い。
「でも、妹のあんな顔も
慶のあんな顔も初めて見た。」
と、正直な気持を話すと
「妹さんって
舞桜と似てないね。
結城さんも、雰囲気が·······」
と、言われて
「そうだよね」と。

そう話していると
テラスから立ち上が美桜達

涼叔母さんと男性に手を繋がれた
男の子
慶は、美桜が立つのを待ち
ありがとうと言う美桜を
優しい顔で見つめ
首を振りながら
一度抱き締めて二人で
笑いあっていると男の子が
「パパっ、ママっ、早くおいで!!」と
「「行くよ。」」
と、慶が美桜の手を取り繋いで
後を追い
男性が会計を済ませ
「お父さん、ありがとうございます。」
「お義父さん、すみません。」
と、美桜と慶
「どういたしまして。
でも、良いなお父さんって。」
嬉しそうな男性に
「まったく俊介は。」
と、涼叔母さん。
とても楽しそうな五人。

やはり慶の相手は
私ではなかったのだと······

悲しみ?切なさ?
でも、美桜が幸せで良かったと思う
安心感?
あの子は、二人の子供だろう。

お母さんは、だから日本から
でろと言ったんだ。
本当に酷い親だと思った。
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