ツインレイ⋅⋅⋅唯一無二
(9)生きていける

あれから一年半が過ぎた。


私は、涼ちゃんの家から五分の
アパートで暮らしている。

「エ〜ン」
「あっ、起きちゃった。」
「瑞樹。ママ、ここだよ。」
と、大きな声で言いながら
彼のいる部屋へと向かう
アパートだから決して広くはないが
そばにいないと泣いてしまうの
わかっていて作品に夢中になっていた。

瑞樹=穏やかで包容力のある子
の意味があり。

私に似ず穏やかに暮らして欲しい
そして、包容力のあるでかい心を
持って欲しい。
そう願い名前をつけた。

私は、涼ちゃんの元に来た時
バタバタと忙しいのと
姉や父、母、慶さんの事で
自分の事どころでなく
実は、倒れるまでまったく
気づいていなかった。

荷物も届いて片付けも済ませて
涼ちゃんと食事をしようかと
話していた時

突然目の前が真っ暗になり
気づいたら病院のベッドの上で
涼ちゃんと産婦人科の先生に
心配されたり、叱られたりした。

私のお腹には、赤ちゃんがいて
もう4ヶ月を過ぎていた。

びっくりしたけど嬉しかった。

涼ちゃんと先生に
産みたいとお願いした。

この子が居てくれたら
私は、乗り越えていける。

慶さんが、居なくても······

忘れる事はできない。
身体が慶さんを欲している
だけど、この子がいたら大丈夫。

涼ちゃんは、わかってくれて
「当たり前じゃない。
私からみて姪孫(てっそん)なんだよ。」
「姪孫?というの?」
「そうだよ。
難しい言葉だけどね。
美桜のお腹の子は、
私とも血の繫がりがあるの。」
と、言ってくれた。

本当に涼ちゃんがいたから。
涼ちゃんがいてくれたから。
私は生きてこれた。

なぜだか、私を嫌う父
そんな父にあまり逆らえない母
私は、どうしてあの二人の元に
生まれたのか?
涼ちゃんの子供として
生まれたかった。
と、考えていると
耳を引っ張られて
「いった〜い。」
「そりゃ痛いわ。耳を引っ張ったのだから。
また、余計な事考えてるでしょ?
良い?美桜は何も考えずに
涼ちゃんのそばにいたら
それで良いんだよ。」
「····うん。涼ちゃん·····ありがとう。
本当にありがとう。
この子共々、宜しくお願い致します。」
と、寝たままだけど
頭を下げると
涼ちゃんは、笑いながら
頭を撫でてくれた。

明日、産婦人科の検査をして
退院となる。

それから、母子手帳を準備することに。
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