拗らせ片想い~理系女子の恋愛模様
社食を出るときに、進捗報告午後時間ありますか、と聞くと、あとでメールしておいて、と言われ、またホッとする。

とにかく須藤さんとは一緒にいるだけで心臓に悪い。

気持ちを切り替えて午後の仕事をこなし
夜、和美とごはんに行く約束があるため、定時少し過ぎには仕事を切り上げ待ち合わせ場所に向かう。
先に行ってて、とお店のアドレスが送られてきていたので、少し早いが、オフィスを出る。

本屋に寄り時間を潰してからお店に向かうと和美はまだ来てなかった。

カウンターとテーブルが10席くらいだろうか、奥の席はソファ席になっていて、落ち着いた静かなお店だ。まだ時間が早いせいか、私が一番乗りだ。
和美が予約してるのかな?和美の名前を言ったほうがいいかな・・・ともじもじしていると
カウンターの中に立っていた若めの店員さんが声をかけてきた。

「佐多さん、ですか?」

「は、はい。佐多です。待ち合わせで・・」

「和美さんから伺っています。奥どうぞ」

ソファ席を案内され、お辞儀をしながら奥の席に着くと同時に、先ほど声をかけてくれた店員さんがペリエを持ってきてくれた。

「飲みたいものがあればお声がけください」

聞き心地のよい声で話しかけられて、私の返事もつい小さくなる。

和美・・・こんなお店知ってるなんて意外だ。静かにお酒好きな人が一人でふらりと来られそうなお店だ。まあ、和美はお酒も強いほうだし、こういう静かなお店で一人で飲んでる姿も様になるはずだ。

カランと上品な音が聞こえて入り口のドアが開くと、和美がニコっと笑いながら入ってくるところだった。

カウンターの中にいる店員さんに、こんばんは、と挨拶しながら私の方に歩いてくると、向かいの席に座った。

「遅くなってごめんね」

「ううん、今来たところ。すっごい素敵なお店。すごいところ知ってるね」

「あそこに立ってる店員さん、イトコの友達なんだよね。1度イトコに連れてきてもらってから何度か来てるんだけど、素敵でしょ」

お店も、店員さんもとても素敵だ。オレンジ色のきれいなカクテルを二つ、持ってきてくれ、田中です。今後ともよろしくお願いします、と挨拶してくれた。

田中さん、、細くて、背が高くて、髪の毛がやや長くて・・・。とてもきれいな男性だ。同期や大学時代には会ったことない、「夜の街」の雰囲気の人だ。

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