宝物 番外編付き
車は、高級住宅街へ向かっている。

「蓮さんのご実家は、会長さんの家と近いんですか?」

「ウチ? 爺ちゃんちの隣りっていうか〜同じ敷地内の隣り同士に建ってるんだわ。
だから、小さな頃は、庭に出て爺ちゃんちで遊んだり、父さんや爺ちゃんが出張の時は母さんと婆ちゃんと俺で一緒に夕飯食べたなぁ。
今でも母さんや婆ちゃんは行ったり来たりしてるんだ。」

「相当広い敷地なんですね。」

「どうだろう。 周りの家はもっと広いからな。
何かさ、時代劇とかに出てる大物俳優さんも同じ町内なんだわ。
道ですれ違っても、普通のおじさんだぞ」

「俳優さん?!!」

「うん。 後、10分くらいかな」


ドキドキしてきた くるみ。
7年も蓮さんの協力をしていた会長。

何となく…蓮さんも会長も、
明日にでも婚約する勢いが伝わってくる。

私もこうなったら、腹をくくって流れに身を任せた方がいいような気がしてきた。
ふと昨日、お婆ちゃんが言った事を思い出した。

"会社の絡みの事もあるだろうし…"

お婆ちゃんは、話しがトントン拍子に進む事がわかっていたのかもしれない。

だから……

結婚までの事は、佐山家に一任すると言ったのかな。
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