幼なじみの双子アイドルの推しが私なんてありえない!
緊張?

焦り?


……最近ではそれなりの確率でシュートが決まっていたのに。

今日に限って全く入らない。


どうしよう。

このままだと本番もシュートが決まらないかもしれない。


体がこわばる。

シュートの体勢に入っているのに、体が動かないよ……。



「肩の力抜いて」



泣きそうになっていた私の耳に入ってきたのは、穏やかで優しい声。

振り返れば春馬くんが微笑みながら立っていた。

春馬くんの突然の登場にもびっくりだけど、昨日とは違う柔らかな表情の春馬くんの姿にも驚く私。



「今まで教えてもらったこと、思い出してやってみて」



春馬くんが少しずつ、こちらへと近づく。

私は春馬くんの言葉にうなずきながら、もう一度ゴールに狙いを定める。

そして私の放ったボールは、リングに吸い込まれるようにくぐり抜けていった。
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