confused me
「今日のご飯はカレーだよ」


彼が一度部屋から出て運んできたお盆からは、湯気がたって良い香りがするカレー。

一応これが、お昼ご飯らしい。


「ふふ、カレーは甘口だったよね」


「......覚えてるんですか」


「唐辛子系の辛さは大好きだけど、カレースパイスは苦手だったよね」


自分ですら知らない自分を彼は知っている。

私は彼自身が理解しているであろう彼を知っているだけ。

余計なことばかり思い出すのに、重要なことは何ひとつと思い出せない。


「そうだ、優里」


カレーを二人で食べていると、彼が私を見る。
なんだろうと私も彼に目を合わせると、彼は気まずそうに笑った。


「君は、薬を飲んで無理やり眠ってるでしょ?えぇと...夜の八時に飲んで、次の日の夕方四時に起きる」
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