エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
遊ぶ海翔を見ながら瑞希は畳に座り、深呼吸してから電話に出る。


「はい、森尾です」

『布施です。かけ直した方がいいか?』


コール音を十回ほども鳴らしてしまったので、忙しいかと思われたのだろう。

「いえ、大丈夫です。そばで海翔が遊んでいますけど……」

名を呼ばれた海翔が嬉しそうな顔をして、瑞希にイルカのぬいぐるみを手渡してきた。

これは家族で水族館に行った時に買ったもの。

海翔の手にはゴーゴーレッドのフィギュアがあり、瑞希のイルカに向けて戦いを挑んできた。


「わりゅいのダメ。やっちゅけてやる!」

「えっ……」


イルカのぬいぐるみは、つぶらな目をして愛らしさしかない。

それなのに悪役にされて、イルカもさぞ驚いていることだろう。

海翔の声が布施にも届いたようで、フッと笑っていた。

けれども、その直後に、彼の声が低くなる。

『話がある。ふたりで会いたい。数日以内に二時間ほど都合をつけてくれ』

お願いというより、指示めいた口調だ。

厳しく指導された外交官時代のように、できないという選択肢を与えられていない気分にさせられる。

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