エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
なんと説明すべきか迷っていたら、母が口元に手をあてた。

三日月形の両目があきらかにニヤついている。


「デートに誘ってくれる人がいるんだ」

「違っ――」

「いいじゃない。最近、電話してる人でしょ? 外務省にお務めなら、安心して瑞希と海翔を任せられるわ。恋も頑張んなさい」

「そういうのじゃないんだよ。ほんと……」


すっかり勘違いされてしまったが、約束の時間を気にして「行ってきます」と外へ出た。

時刻は十七時三十五分。

秋は深まり、日没は早く、濃紺色の空に星が瞬いている。

瑞希はよそ行きのパンプスを鳴らして、急ぎ足で駅に向かった。

薄手のコートの下は、フェミニンな茶系のロング丈ワンピース。

スカートに細かいプリーツがついていて、上品な印象のものだ。

小さなダイヤのネックレスとパールのイヤリングもつけ、メイクもしっかり施した。

布施に会うからめかし込んだのではなく、彼が予約した店にドレスコードがあるためだ。

メールで知らされたその店は、調べてみるとフレンチレストランで、夜はコース料理しか提供していないとホームページに書かれていた。

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