エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
それなりの恰好でなければならないと支度したけれど、正直に言うと、布施と会えることへの浮き立つ思いも微かに感じている。

(喜んでいる場合じゃないのに)

電車で移動し、高級感漂う繁華街を五分ほど歩く。

目的のフレンチレストランは、近代的な商業ビルの十五階にあった。

約束の時間ほぼぴったりに店の前に着くと、入店せずに布施がドア横で待っていた。

ビジネス用ではない、洒落たデザインのネイビースーツとネクタイが、彼の精悍な美貌を華やかに引き立てている。

デートファッションの如きその姿もさることながら、瑞希が現れたことにホッとしたように瞳を細めたので、ドキッとしてしまう。

(来ない可能性を感じていたのかな。海翔がぐずってドタキャンすることになっていたら、がっかりさせたのだろうか)

「お待たせしてすみません」と会釈した瑞希に、布施が一度首を横に振った。

「入ろう」

口角を上げた彼は瑞希の横に並ぶと、さりげなく腰に腕を回してドアへと誘う。

上司と部下として布施とふたりで食事をしたことは何度かあったが、フランス紳士のように体に触れてエスコートをされたのは初めてで瑞希の心が波打った。
< 108 / 224 >

この作品をシェア

pagetop