エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
(私の知ってる布施さんと少し違う。女性として扱われている気が)
母には違うと言って出てきたが、彼はデートのつもりで誘ったのではないかと錯覚しそうで動揺した。
再会してから、ちらほらと顔を覗かせる恋心に困る。
(いけない……)と瑞希は今も自分に言い聞かせ、愛しさを無理やり押し込めた。
「布施様、お連れ様、いらっしゃいませ。お待ちしておりました」
入口で応対するのは、四十代に見える黒服の男性で、マネージャーと英語で書かれたプレートを胸につけていた。
店内にはピアノクラシックが控えめに流れ、ドレープの付いたえんじ色のカーテンやアンティーク調のウォールランプ、凝った浮彫の壁が西洋の古城を思わせる。
足元は絨毯敷きで、八つのテーブルがゆったりと配されていた。
窓からは夜景が見えるようだ。
三組の客が食事中で、皆上品な装いをして穏やかに談笑し、ここには優雅な時間が流れていた。
(こういうお店は久しぶり。海翔を連れてだと、ファミレスかラーメン屋かファストフード店が精一杯だから。こんな上等な店じゃなくてもよかったのに)