エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
婚約までした仲なのだからなにもおかしいことはないが、嫉妬してしまう。

その直後に、なにを馬鹿な想像をしているのだとハッとした。

思わず額に手を当てたら、布施に「どうした?」と問われる。

「いえ……豪華なお部屋ですね。フレンチレストランの個室は初めてです。私にはもったいないほどに素敵です」

取り繕うように笑みを向ければ、布施にサラリと言われる。


「この店は森尾に似合っているぞ」

「え……?」

「三年会わない間に大人っぽくなって、魅力が増したと感じていたんだ。森尾は綺麗だ。自信を持っていい」


真顔で言い切った彼の目が、その後に柔らかな色気を纏って細められた。

瑞希は言葉が出てこない。

鼓動が高鳴り顔は熱く、口説き文句のような彼の言葉に心が勝手に喜んでしまう。

岸田が引いてくれた椅子に腰かけても動悸は治まらず、困り顔になった。

(落ち着いて。これはたぶん……交渉術)

相手を気持ちよくさせ、その後の話し合いを有利に進めようという魂胆だと邪推する。

我ながら可愛げがないとは思ったが、平常心を取り戻す術を他に見つけられなかったのだ。

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