エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
(布施さんの術中にはまってはいけない。気をつけて)

しばらくすると優雅な食事が始まった。

シャンパンで乾杯し、サーモンクリームを巻いたトルティーヤ風のアミューズを口にし、続いてマグロとアンチョビのオードブルに舌鼓を打つ。

トリュフが香るスープと魚介の蒸し料理は、白ワインとともに楽しんだ。

美しく繊細に盛り付けられたプレートは、芸術品のようだ。

ゆっくりと進むディナー中の話題は、布施が大使として赴任していた国について。

アフリカ全体を共通市場にしようという自由貿易圏や紛争にテロ、日本企業のインフラ投資などの現状と課題を聞かせてくれた。

その後に布施は、端整な顔に少々寂しげな影を纏わせる。


「辞令が下って、やはり俺は元の局に異動することになった。元々ヨーロッパが専門だからよかったんだが、中途半端で引き継ぐのが残念だ」

「それは仕方ないですよ。前に布施さんが、こう教えてくれたんじゃないですか。『問題も課題も次々と生じる。決して尽きることはないものだから、業務に関してオールクリアな状態を作るのは不可能だ』ですよね?」

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