エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 瑞希の両親を味方につけ、援護射撃をしてもらおうという狙いのもとで。

 その理由はもちろん、どうしても瑞希と結婚したいからで……。

「布施さん……」

 困るという思いを込め、弱々しく呼びかけた。

 すると振り向いたアーモンド形の目が、瑞希の思いを感じ取ったように寂しげに細められた。



 翌日の日曜日、正午からシフトに入っていた瑞希は十八時になってタイムカードを押した。

 着替えをしてホテルの従業員出入口から外に出ると、すっかり暗くなっている。

 北風の冷たさにコートの襟を立てホテルの敷地から出ようとしたら、「待って」と後ろに声がした。

 振り向けば、追ってきた蛭間が瑞希の前で立ち止まった。

 彼はまだ黒服を着ていて、仕事中に抜けてきたようだ。

「なにか……?」

 やり忘れや持ち帰りの仕事などはない。

 シフトの変更でも告げにきたのかと、瑞希は予想した。

 しかしなぜか蛭間は緊張した面持ちである。


「森尾さん、昨日話したことなんだけど」

「えーと、なにを話しましたっけ?」

「ぐっ……気分転換の話」


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