エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「どうするかな」と言いつつも、布施が腕を解いてくれた。

 満足げに口の端を上げて。

 瑞希は胸に手を当て落ち着こうとする。

 それにクスリとした布施が、「行こうか」と歩みを促した。


「えっ、どこにですか?」

「森尾の自宅」


 送ってくれるという意味かと思ったが、そうではないようだ。

 今日の布施は休日出勤なのだが、昼過ぎに瑞希の母から夕食に誘うメールが届いたという。

 それで、瑞希の退勤時間に合わせて布施も仕事を切り上げ迎えに来たそうだ。


「連日で申し訳ないが、森尾と海翔に会えるのが嬉しいな。ありがとう」

「あの、私はその話を聞いていないんです。うちの母といつ連絡先を交換したんですか?」

「昨日、森尾が帰宅する前にな。今夜はすき焼きだそうだ。勤務先のスーパーで牛肉が二割引きの日だと言ってたな」

(うちは特売の日にしかすき焼きをやらないのよ。家計の事情がバレそうな話まで、お母さんたら)


 この分だと、布施に知られたくないことまでメールに書かれてしまいそうだ。

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