エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「潤一さんに連絡を取ることも、父に許してもらえなかったんです。せめて謝罪だけでもしたかったのに……本当にごめんなさい」

 悲しげな京香の顔を、布施は冷静に観察している。

 京香も被害者で、自分たちは権力者によって仲を引き裂かれたのか……とは思えなかった。

 なんとなく演技がかっている気がする。

 結い髪のほつれを気にして手をやる京香に、心から申し訳ないと思っている態度ではないと感じていた。

(結婚指輪を外しているな。夫とうまくいってないのか?)

 その推測は当たっているようだ。

 京香が今にも泣きそうな顔をして、布施に訴える。


「父の言うなりになって今の夫に嫁ぎましたが、この結婚が間違いだと気づいたんです。夫は厳しく冷たい人です。潤一さんとは違う。潤一さんはいつも紳士的で、私に優しく接してくれましたよね。私、あの頃に戻りたい。離婚したら、私と――」

(その先は聞きたくない)


 そう思った布施が、片手を上げて京香を黙らせた。

「あなたはもう過去の人なんです。俺には愛する女性が他にいます」

 布施が手に入れたいのは瑞希のみ。

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