エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
「潤一さんは帰ってきたらゆっくりしてください。寝かしつけは大変だけどつらくはないです。それよりも今日は他に疲れることがあって――」

 瑞希は週に二、三回働いている。

 外交官時代の知り合いのつてで、パリのとある大学の日本語学科で講師の助手のような仕事を得た。

 金銭的に困らなくても、家にこもっていては社会的な承認欲求が満たされない。

 瑞希には仕事も必要なのだ。

 それで今日は大学に行く日で、帆香をベビーシッターに預ける予定だったのだが――。

「クロエにドタキャンされたんです。今日は天気がいいから恋人とピクニックに行くことにしたって言うんですよ。先月から予約しておいたのに、そんな理由で断るなんて……」

 クロエは二十五歳のフランス人女性で、四か月前から瑞希の仕事の時に来てもらっている。

 明るく楽しい人柄で、赤ちゃんの扱いもうまい。

 いいシッターに巡り会えたと喜んでいたというのに、今後依頼するかどうかを迷ってしまう。

「それでどうしたんだ?」と潤一が聞いた。

「急いでシッターの派遣所に電話して、別の人に来てもらいました」

< 214 / 224 >

この作品をシェア

pagetop