エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 初めて会う人に急に預けることには不安があったが、出かける時間が迫っていたのでやむを得ずお願いしたのだ。

「帆香の様子が気になって、仕事に全然集中できなくて――」

 ミルクの分量や時間は守ってくれているだろうか、帆香は泣いていないだろうかと考えていたら、答案の丸つけで採点ミスをしてしまった。

 それだけでなく、学生からレポートの相談を受けている時に、つい自分のことを『お母さんは』と言ってしまい恥ずかしい思いをしたのだ。

 潤一が「大変だったな」と笑いながら言う。

「笑い事じゃないですよ。焦ったり落ち込んだりで、本当に大変な一日だったんですから」

 瑞希が頬を膨らませて文句を言ったら、大きな手に頭をポンポンと叩かれた。

 それからニッと笑った潤一に、指摘される。


「ここはパリだぞ。瑞希が海翔にそう言ったんじゃないか」

「あっ……」


 ルシアンと喧嘩したという海翔に『ここはパリだから、大丈夫なんだよ』と元気づけたのは、つい昨日のことだ。

 それを思い出した途端、シッターにドタキャンされても仕方ないと思えてきた。

(だってパリジャンだもの。そういうことよね)

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