エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
 笑顔で目の前に立ったのは、マロンブラウンの髪とグリーンブルーの目をした、二十代前半くらいに見えるフランス人男性だ。

 どうやら瑞希を中国人だと思ったらしい。

「ボンジュール。私は日本人ですよ」と瑞希が話すと、彼が「そうだと思ったんだよ」と調子のいいことを言う。

「日本といえばアニメだよね。あとは富士山? アジアのどのあたりなのかわからないけど、それだけは知ってるよ」

 そう言われたら、大使の妻としては本国を知ってもらうべく説明したくなる。

 日本の位置や国内の世界遺産に和食、サムライ、浮世絵など、歴史的に有名なものを、スマホで検索した画像を見せながら彼に教える。

 気づけば三十分ほどベンチに並んで座り、話し込んでいた。

 そのかいあってか、「日本って素敵な国だね。いつか行ってみたいな」と言わせることに成功した。

「ぜひ。きっと楽しい旅行になりますよ」

 小さな達成感を味わう瑞希が笑顔を向けたら、彼がお尻の位置をずらして距離を詰めてきた。

「ねぇ、連絡先教えてよ。日本に行く時は案内して。君、観光客でしょ? その代わりに僕がパリを案内するからさ」

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