エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
服装はそのような感じだが、直したメイクは若干濃いめである。

そもそも仕事終わりにメイク直しなどしたことがなかったのに、チークやアイシャドウまで使ってしまった。

(綺麗にしたいわけじゃない。これは決戦前の武装といったところだから。しっかりメイクの方が、表情の機微を悟られないかもしれないし)

そのように自分に言い訳をして、ホテルを出た。

約束は十五時で、その十分前に駅前のカフェに到着した。

通勤経路にあるため何度も店の前を通ったことはあるが、入店するのは初めてである。

白い塗り壁の一部がレンガ調で、黒板には手書きのメニューが書かれていた。

四角い木目のテーブルは、四人掛けが四つとふたり掛けが六つ。

短いカウンターの席もある。

吊り下げライトの傘はホウロウで、フェイクグリーンがあちこちに安らぎの色を添えていた。

雑誌も豊富に用意されている。

性別、年齢問わず利用しやすそうな雰囲気であるが、海翔を連れてというのは難しいだろう。

「いらっしゃいませ」と店員が近づいてきた時、瑞希はすでに彼を見つけていた。

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