エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
庁舎内で仕事の時はツーピースのスーツで、誰かとアポイントがある時はベスト付きのスリーピースのネイビースーツを彼は着る。

私服姿を前に見たのは、瑞希がフランスで研修していた時だろう。

指導役の布施は、右も左もわからない新人に親切にも街案内までしてくれた。

フランスでの生活に慣れてからも時々、カフェに誘ってご馳走してくれた。

フランスのカフェはドレスコードのないレストランのようなもので、コース料理をワインと一緒に楽しむ客も多い。

数年前を思い出して話す瑞希に、布施も懐かしげな顔になる。

「そんな時代もあったな。暴露すると、もう少し優しく指導しろと上司から指示されていたんだ。森尾の前年度に世話した新人を泣かせてしまったことがある」

まずは信頼関係を作らないと、今の若者は厳しい指導についてこれないと、当時の上司に注意を受けたらしい。

それで時々、瑞希を食事に誘うことでバランスを取っていたそうだ。

布施が自嘲気味に口の端を上げる。

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