エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
なんとなくの体調不良と、生理が遅れているなと思っていた程度だ。

布施がアフリカに旅立つと聞いた瑞希は、失恋を確信した。

代理大使を引き受けた理由はきっと、婚約解消にある。

布施は京香を諦めるために危険地帯に赴こうと決め、そこには京香への愛があるのだと思ったのだ。

布施が瑞希を女性として意識する日はこない……そう感じて、瑞希はただの部下として布施を送り出した。

お返しなどこないように餞別はあえて缶コーヒー一本と、そのメモ用紙。

フランス語で書いた【アプレ・ラ・プルイ・ル・ボー・トン】は、つらいことの後にはいいことがあるということわざだ。

その下に日本語で、【幸運を】と書き添えた。

三年前の自分の字を読みつつ、瑞希は驚きに目を丸くしていた。


「ずっと取っておいてくれたんですか?」

「ああ。財布に入れていつも持ち歩いていた」

「どうして……」

「さあ、なぜだろうな。俺にもわからないが捨てたくなかった。向こうで度々、森尾のことを考えていた。どうしているのかと気になって、連絡しようと思った日もあったが……」


連絡しなかった理由は、ふたつあるそうだ。

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