エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
夕焼けにはまだ早いが、手を繋いでいる親子の影が長くアスファルトに伸びている。


「おっちいね!」

「うん。海翔が大きくなった。ママもだね」


影を見てはしゃぐ息子に、心が慰められた。

(大丈夫。私は何度も否定したし、もう布施さんに会うこともない。今後は海翔を育てることだけ考えればいい)

そう思っていたのに――。

住宅街の車線のない細道を進んでいると、ふいに後ろから声をかけられた。

「森尾」

驚いて振り向けば、足早に近づいてきた布施が瑞希の前で足を止めた。

「えっ……」

後をつけてきたのかと目を見開き、咄嗟に海翔を抱き上げる。

(隠さないと……)

海翔の顔は布施似なので、見られてはいけないと思ったのだ。

けれども瑞希の腕の中で、海翔が体を捻って振り向いてしまう。

保育園で他児の保護者とも日常的に接しているせいか、海翔は見知らぬ大人にも臆することはない。

母親の緊張も感じ取れず、興味のままに「おじしゃん、だぁれ?」と声をかけてしまった。

その聞き方にも瑞希は慌てた。

「海翔、おじさんはちょっと……お兄さんと呼ぼうか」

布施が苦笑する。

< 86 / 224 >

この作品をシェア

pagetop