エリート外交官の激愛~秘密の一夜で身ごもった子ごと愛されています~
(もったいない。美味しそうなごまプリンなのに。食べたくなってきた。コンビニに似たもの売ってるかな。家族分を買って……海翔は普通のプリンじゃないと食べないかも。黒いのは見た目で拒否されそう)

なにをするにつけても考えが行きつく先は海翔のことで、母心である。

和室をきれいに片付けてバックヤードに戻り、今度はパントリーで洗いもの。

皿はそのまま厨房に下げるが、湯呑や急須、グラスやとっくり、カトラリーは、各階のパントリーで配膳スタッフが洗うことになっている。

とはいえ、食洗器を稼働させるだけなので、お喋りする余裕はあった。

ポットに残ったお湯を捨てながら、鏑木が瑞希に新たな話題を振ってくる。

「この前みたいにフランス語を喋ってくれませんか? あの時は本当にかっこよかったです!」

はしゃぐような声色のおねだりに、瑞希は苦笑する。

「必要性があれば話すけど、私たち日本人同士だからね……」

フランス語がわからない人に話しても独り言になってしまうし、すごいと褒められるためだけに口にするのはどうにも抵抗がある。

やんわりと断ったのに、鏑木に粘られた。

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