世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
「だからなんだよ!!!!」
「……メイワクカケテゴメンナサイ」
体育館が静まり返る。
それはそうだ。これまで二人が争って、お互いが謝ったことがない。
いつもうるさい隼也まで目を丸くして固まり、そこら中でボールが床に落ちて弾む音が聞こえる。
やがて、体育館のそこかしこから、天変地異の前触れ……?アイツ本当に与田か……?と困惑している声が聞こえてくる。
そして放心する清谷を放って、俯いていた総一郎がスッキリした表情で顔を上げる。
「……よし、言えた」
「……与田、お前」
「言っておくけどお前のために謝ったわけじゃないからな」
「うちの病院で脳の検査をしよう」
「ア゛?」
よかった。いつも通りだ。
清谷の無神経な発言により、再び睨み合う二人を見て、体育館はまたうるさくなる。
しかし、隼也だけが総一郎の変化に気付いた。
「……総一郎が、清谷に謝った?」
そのタイミングで、両校の監督が体育館に来て、練習試合が開始した。
しかし、隼也の脳内はずっと総一郎の変化のことで頭がいっぱいだった。
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