世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



 広い敷地を頑張って歩き、バレー部が練習試合をしているという第三体育館に辿り着いたあかりはまたもや驚いていた。


 体育館の入り口には、私服や他校の制服の女子が集まっていたからだ。
 体育館の中から聞こえる声や、ボールの弾む音にきゃあきゃあと黄色い声を上げている。



「家族を応援してるのかな」



 家族なわけない。やはりあかりはズレている。
 三つ子の部活の練習試合を、いつも家族として観戦していたあかりは、試合には家族が応援に来るものとして認識していた。
 というより、三つ子にそう信じ込まされていた。


 所々から、与田くん、清谷くんと黄色い声が上がっているのを見て、あかりはやはりここでバレー部が試合をしているんだと確信する。
 そして一生懸命体育館内を覗き込もうとするが、女子達の鉄壁で中々上手くいかない。



< 144 / 263 >

この作品をシェア

pagetop