世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1




 仕方ないから休憩まで待つかと溜息を吐くと、背後から肩を叩かれる。
 驚き振り返ると、そこには汗をフェイスタオルで拭う、ジャージの上にゼッケンを付けた男子が居た。


 総一郎と同じように背が高い。
 膝と肘にサポーターを付けているところから、バレー部員だとあかりはすぐに気付く。



「あっ! あのっ」
「シー、静かに。気付かれるとめんどくせーから」


 男子はあかりに手招きして体育館の入り口から離れる。
 そして、小さなあかりを見下ろした。



「なんか困ってるように見えたんすけど、部員に何か用事っすか?」
「そうなんです。あの、そうい……よ、与田くんにこれを」
「……総一郎に?」
 

 なんと、あかりに声を掛けたのは幼馴染の隼也であった。
 たまたま選手交代でトイレに行った時に、見るからに困っているあかりを見つけ、放っておけなかったのである。


 しかし、隼也は内心溜息をついた。
 お弁当を差し出すあかりを見て、総一郎のファンだと思ったからだ。
 こういう場合、総一郎は基本的に受け取ってしまうが、以前それでめちゃくちゃ腹を壊したのを知っている隼也が危機感を抱き、弁当だけはどうにか撃退している。



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