離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く


 ひとり暮らしを始めて、花を育てはじめた。きっかけは引っ越し祝いと称して唯がくれた寄せ植えだ。

 黄色や紫のビオラ。きちんとお世話をすればたくさん花をつけると聞いて、毎日ベランダで世話をしている。

 趣味に割く時間ができたなんて、わたしも少しは今の生活に慣れてきたのかも。少しうれしくなりながら、夜空の下で今日も花の世話をする。

 水をやり、しぼんでしまった花を取り除く。こうすることで後からたくさんの花を咲かせるらしい。

 世話を終えて立ち上がった瞬間、隣のベランダの窓が開く音がして人の気配がした。慶次さんも出てきたみたいだ。

 プシュッという缶を開ける音がした。ビールでも飲んでいるのかもしれない。

 こんな時間に帰ってるなんて珍しい。一緒に暮らしている時は毎日遅かったから……。

 花のお世話は終わったけれど、彼が出てきてすぐに中に入るとなんだか感じが悪いかも。どうしたものかと考えていると、鉢植えに足が当たってしまいガタンと音がした。

「和歌、そこにいるのか?」

 慶次さんはすぐに気が付いたようで、防火壁から顔を覗かせた。

「はい。ちょっとお花のお世話を」
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