離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 小さな鉢植えを持ち上げて彼に見せた。

「へぇ、花育ててるのか。綺麗だな」

 手塩にかけた(といってもまだ数週間だが)ものを褒められてうれしくなる。わたしが笑うと彼も微笑んだ。

「和歌も、飲むか?」

「うん」

 わたしが返事をすると、彼は一度部屋の中に入ってビールを取ってきた。わたしは壁越しにそれを受け取る。プルタブを持ち上げると炭酸の抜ける音が聞こえた。

「乾杯」

「え、あ、乾杯」

 とりあえず慶次さんに合わせて缶を掲げた。ひと口飲むとのどを気持ちいい刺激が抜けていく。

「いつの間にビールなんか飲めるようになったんだ?」

「わたしだってもう二十二だよ。少しくらいなら飲めます」

 進んでは飲まないけれど、付き合いでビールを口にすることもある。それに今日みたいな夜の風にあたりながら外で飲むビールは、店で飲むのよりも美味しいような気がした。
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