離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「これまでずっと俺は和歌のことを思って行動してきたつもりだった。食事に行く店もプレゼントも全部、和歌の好みを考えて手配していたのは嘘じゃない。でも本当に和歌が欲しかったものは違うんだよな」

「うれしかったですよ。全部」

 わたしが喜んでいなかったなんてことはない。わたしが知らなかった大人の世界を教えてくれたのは慶次さんだ。

 慶次さんのような誰もが憧れるような大人の男性に大切にされて、自分がものすごく価値のある人間だと思えた。

「でも和歌が求めていたのは違うものじゃないのか。ラーメンやナポリタンを食べている時の楽しそうな顔は、以前は俺に見せてくれなかった。違うか?」

「それはちょっと違う気もします。レストランも楽しんでいたので、緊張はしていましたけど」

「それなら――」

 自分の気持ちをどうしても言いたかったわたしは、慶次さんの言葉を遮った。

「でも慶次さんの言っていることも正しいです。わたしは特別なことがなくても楽しかった。豪華じゃなくても一緒にいるなにげない時間がうれしいんです」

「そうだよな。そういうことを喜ぶ子だってちゃんと見てなかった」

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