離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「レストランで向かい合って食べる食事ももちろん美味しいですよ。でも今みたいに隣り合ってお話ししているのもわたしは大好きです」
話してから、しまったと思った。これでは離婚するふたりの話し合いにはならないではないか。
でもこれまで知ることのなかったお互いの気持ちを口にすることができた。今なら怖くて聞けなかったことが聞けるかもしれない。勇気を振り絞って口を開いた。
「慶次さ――」
「和歌、今日の飯うまかったか?」
「え、はい」
言葉を遮られてしまったわたしは、振り絞った勇気をすぐにしまい込んだ。
「よかった。じゃあ。お礼をもらえる?」
「え、あ! わたしったらなにも用意してなかった」
本来、お呼ばれをして訪問することになるなら手土産のひとつも持っていくのがあたり前だ。今日はその上食事までご馳走になっている。
「ごめんなさ――」
言葉を遮られるのは本日二度目。しかしそのやり方に驚き、心臓が止まりそうになった。
慶次さんの唇がわたしの唇に重なっている。
一瞬理解できなかったわたしは大きく目を見開いた。しかし理解が追いつくとすぐに目をギュッと閉じた。
わたし、慶次さんとキス……してる。