離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 なんで、どうして。ぐるぐるとその言葉だけが頭の中を駆け巡る。

 勢いで彼の腕をギュッと握ると、より深く唇が重なった。なにをどうすればいいかなんてわからない。わたしはただ与えられるキスに必死で応えた。

 どのくらいそうしていたのかわからない。気が付いた時にはわたしは慶次さんに抱きしめられていた。

「お礼ちゃんともらったから」

 わたしとのキスがお礼になるの?

 なんだか無性に恥ずかしくなったわたしは慌てて立ち上がる。

「あああああ、見たいドラマあったんだ! 帰るね。ご馳走さま」

「和歌?」

 慶次さんが呼び止める声がした。しかしわたしは振り返らずにそのまま自宅に逃げ帰る。

 ばたんと扉を閉じた瞬間、声をあげそうになって口を塞ぐ。隣には慶次さんがいるのだ。

 キスした。キス、わたしが慶次さんと!

 思い出すだけで、さっきの尋常じゃないほどの胸のドキドキがよみがえってきて苦しい。

 冷蔵庫の中から急いでミネラルウォーターを取り出して、一気に飲んで気持ちを落ち着かせた。

「はぁ」

 大きく息を吐く。

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