離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く

 どうして……キスしたんだろう。たしかお礼と言っていたけれど、それならば別にキスじゃなくてもよかったはずだ。

 あのキスにどういう意味があるのかわからない。離婚……しないつもりなの? だったらどうして、今までそういう素振りを一切見せてこなかったの?

 考えたくないけれど、白木家との繋がりがやっぱり欲しいからわたしを繋ぎとめるつもり?

 でも、相続財産目当てならそれでもかまわないとさえ思ってしまう自分もいる。だが七尾さんは? 彼女が悲しむ顔が目に浮かぶ。わたしも他の女性の影を感じながら生きていくのはつらい。

 さっきまでキスの余韻でふわふわしていた気持ちが一気にしぼんでいく。

 せっかくの初めてのキスなのに、素直に喜べない。

 慶次さんの気持ちがわからない。

 ただわかったこともある。わたしはやっぱり慶次さんのことが好きだということだ。

 ***

 夕方に取引先から戻ってきた後、絶え間なく社員が面会にやって来る。おのおのの裁量で仕事を行えるように決裁権を与えていても、最終的にこちらに話が回ってくることも多い。

 でもそれが全責任を負うという社長の仕事なのだから仕方ない。

 それに今日みたいな日は、忙しいくらいの方がちょうどいい。
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