離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 そう思いながらメールに目を通していたところに、やっかいなやつが社長室までやって来た。

「おい、慶次」

「今は社長。それから社員の面会は秘書を通して」

 射水が眉間にしわを寄せて、煩わしそうに首を左右に振った。

「やだよ、七尾なんか。ものすごーく怖い顔して俺のこと睨むから」

「それはお前の日頃の行いが悪いからだろ。で、なんだ?」

 秘書を通せと言ったところで、この男は言うことを聞かないだろう。まあ、こういう遠慮のない男だと知っていてこの会社に連れてきたのだから仕方ない。それに十分俺の期待に応えてくれているのだから、多少のことには目をつぶろう。

「このシステムについてなんだが、向こうの要望はすべて取り入れられる。ただこのままでは運用に穴があることになるのが気になる。たとえば――」

 話を聞いてみれば、なるほどと納得した。射水のすごさは先を見越す想像力にある。見かけのチャラさから想像もできないけれど、先方の要望よりふたつも三つも上のシステムを作り上げるのがこの男だ。

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