離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「わかった。ただ問題は納期だな。どのくらいの猶予が欲しい?」
「いや、納期は問題ない。ただ先方の要望と少し変わる仕様がある。そこについてもう一度話をする機会を持ちたい」
「わかった。同席する。俺のスケジュールは七尾に」
「あー、結局七尾じゃん」
射水が大袈裟に天を仰いだ。
「仕方ないだろ。彼女は俺の優秀な秘書なんだから」
「わかった。七尾~」
射水が隣の部屋にある七尾のデスクに行く。すると開いたままの扉からふたりの話し声が聞こえてくる。
「無理よ、これ見えない? 社長のスケジュールは真っ黒なの」
「でも、慶次は入れろって」
「はぁ。わかったわよ」
明らかに不機嫌な七尾の声。しかし彼女ならどんな手を使ってでも俺たちの望むように段取りをつけるだろう。
「さすが一夏(いちか)。やっぱ一夏なんだよなぁ」
「ちょっと、やめてよ。髪が崩れるじゃない」
「いいじゃんよ~それと今日の仕事はこれで終わりな。飯行くぞ」
「は? 勝手に決めないでくれる?」
ああ、またやってるな。まぁでも、俺の思惑通りに事が進んでホッとする。
仕事をしながら聞き耳を立てていると、ふたりして社長室にやって来た。
「慶次も行く?」
射水の言葉に俺は首を横に振る。
「やめておく。仕事が終わらないと秘書が怖いからな」