離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「今言うことじゃないのかもしれない。でも言わせて。わたしからすれば、全部和歌の憶測でしょう? 和歌のまっすぐな性格は知っているけれど、角度が違ったら景色は随分違って見えるはずだよ」
「でも七尾さんのことを考えたら、わたしが消えた方がいいんだもの」
化粧室で見た七尾さんの顔は本気だった。彼女の言葉を聞けば、七尾さんと慶次さんの仲にはなにかあると思っても不思議じゃない。
「その七尾って人の言葉は信じるのに、慶次さんの優しい態度や振る舞いから感じられる彼の真摯(しんし)な気持ちは知らないふりするの?」
「そんなつもりじゃないけど」
「本当に? 言葉がなくったって慶次さんは和歌を大切にしているように見えたけど。わたしと卓哉よりもよっぽどカップルらしかった」
そう、彼の思いやりのこもった態度はわたしが一番よく知っている。
「ねえ、このままでいいの? 部外者のわたしから見たらお互い言葉が足りないだけのように思えるの」
確かにわたしは慶次さんの気持ちを想像するばかりで、自分の気持ちをきちんと彼に伝える努力をしただろうか。
恥ずかしいからと向こうからのアクションをずっと待っていた。そして、最終的に告げたのは離婚。
「もう、遅いよ」
たとえ唯の言う通りだとしても、もう遅い。今回こそは慶次さんも離婚に向かって動き出す。