離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
そしてわたしのもとに一通の書留が届いた。
封を開けると、中にはわたしたちが記した離婚届が入っている。
中身を確認した瞬間、手が震え始めた。最初にこれを書いた時とは比べ物にならないくらいの焦燥感が体を駆け巡る。完全に封筒から出す前に、一緒に同封されていたなにかが床に落ちた。
「なんだろう……えっ」
それはわたしが祖父と行った旅行先で買った縁結びの御守りだ。なぜだか朱の方だけ入っていた。
それと一緒に手紙が見つかる。そこには慶次さんの几帳面な文字が並んでいた。
◆ ◆ ◆
和歌へ
元気だろうか。君と生涯寄り添うと誓ったのにそうできなかった俺に心配する権利はないとわかっているけれど、最後だから我慢してほしい。
この御守りを和歌が買った時の気持ちに戻ってくれないかと期待しながら、君に接してきたつもりだった。最後まで俺の勝手なわがままに付き合わせて悪かった。
片方の御守りは、俺のものだからもらっておく。
最後に和歌にできるプレゼントが離婚届だなんて情けないけれど、どうか幸せになってくれ。いつも君の幸せを祈っているから。
慶次
◆ ◆ ◆
紙の上に涙が落ちた。インクがにじんでいるせいか、それとも涙で前が見えないせいか、文字が読めない。
唯の言った通り、わたしは大切にされていた。でもそれに胡坐をかいてなにもしてこなかった。そして最後は怖くて逃げた。そんなわたしが幸せになれる?
わたしの幸せって?
そこまで考えたわたしは、無意識にスマートフォンを手に取り電話をかけていた。
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