離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く


 和歌の家からだと待ち合わせ場所まで三十分。おそらく彼女のことだから少し早めに到着して待っているだろうことを見越し、俺も早めにホテルを出た。

 到着すると、見合いの時に咲いていた庭園の桜が青々とした葉をつけ、風に揺れていた。生命力を感じさせるみずみずしさに、深呼吸をすると多少気持ちが落ち着いた。

 この庭で待っていれば彼女は必ずここを通るはず。俺はなにもせずにただひたすら彼女を待ち続けた。

 見合いの日のことを思い出す。あの日振袖を着た和歌はすごく緊張していた。きっと二十歳で見合いなんてしたくなかっただろうし、結婚するつもりなんてなかったに違いない。


 でも祖父思いの彼女は、俺との結婚を選んでくれた。だからこそちゃんと時間をかけて大切にすると誓った。それなのに……。

 後悔しかない。もっとできることはたくさんあったはず。一年半そばにいたのに結局幸せにはできなかった。

「遅いな」
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