離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く


 ***

 わたしたちはとりあえず話をするために、わたしのマンションの部屋へと移動した。病院からここまでタクシーで移動する間に、事の顛末を話した。

 慶次さんとの待ち合わせ場所に向かっていたわたしは、駅から移動中に下校途中の小学生が事故に遭う瞬間に遭遇してしまう。慌てて手を引いてかばったおかげで大きなけがはなかったけれど、念のためこちらの病院で小学生と一緒に診察してもらうことになった。

 けがをした小学生もわたしも擦り傷だけ。小学生も保護者がすぐに迎えにきて、あとは事故当事者同士が話をするということになった。

 ただその病院が祖父とわたしのかかりつけの病院だったせいで、すぐに緊急連絡先の慶次さんに電話がいったようだ。

 ソファに座った慶次さんはひとつ大きな安堵のため息をついた。

「和歌が事故に遭ったって聞いて、なにも考えられなくなった。電話も途中で切って、ちゃんと話なんか聞けなかったし」

 普段は冷静な彼がこんなに取り乱すなんて驚いた。

「心配かけてごめんなさい。呼び出したのはわたしなのに」

 忙しい彼を急に呼び出してしまった。その上こんなことになってしまって、なんてタイミングが悪いのだろう。

「いいんだ。さっきも言ったが和歌が無事なら」

 それまでうつむきがちだった慶次さんがわたしを見て優しく微笑んだ。しばらく見ない間に少しやせたような気がする。

「和歌が俺のそばにいなくても、健康で幸せならそれでいい」

 先日別れた時には見せてもらえなかった笑顔を見て、わたしの胸は温かくなった。

 やっぱりこの人が好き。

 わたしは自分の気持ちのすべてを初めて彼に話すことにした。たとえそれが今さらだとしても伝えずには先に進めない。
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