離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「なあ、俺たち本当に一年半もなにやってたんだろうな」
「そうだね」
眉尻を下げて笑い合う。ここまで来るのになんて遠回りをしてしまったんだろう。
「いや、本当によく俺は我慢できたと思う。褒めてほしいくらいだ」
「そんな必要なかったのに?」
わたしの言葉に慶次さんは眉をひそめた。
「だから和歌は男ってものが、わかっていないんだ。一度その線を越えてしまったら歯止めが利かなくなる」
「そ、そういうものなんですね」
男性のそういうことは、恋愛経験不足のわたしにはよくわからない。
「そう、だから今和歌の気持ちを聞いて、俺のストッパーは完全にはずれてしまったわけだ」
「えっ、それって」
慶次さんの大きな手のひらがわたしの両頬を包む。強制的に視線を合わせられて、目を逸らすこともできない。
「和歌、覚悟はできてる?」
そんなことを言われてもどう答えていいのかわからない。初夜の時からずっと覚悟ができていると言えばできているし、気持ちが通じ合った今もできていないと言えばできていない。
わたしは数回まばたきして、言葉を選ぶ。しかしそのわずかの時間さえ慶次さんは待ってくれなかった。
「時間切れ」