離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 そう言った後、わたしの唇にチュッと軽くキスをすると手を引いて立ち上がらせた。そこからあっという間にわたしを抱きかかえた。

「えっ、自分で歩けます」

「ダメだ。本当は結婚式の日も君をこうやって寝室まで運びたかった」

 迷いなく寝室の扉を開けてベッドに向かう。そういえばあの日わたしはいつまでも来ない彼をベッドで待っていたんだった。

「わたしだって、こうしてほしかった」

 あの時の悲しい気持ちがよみがえってきて、つい気持ちを漏らしてしまった。

「だったら、長い間我慢した分、今日和歌を愛させて」

 慶次さんはわたしの頬に小さなキスを落とすと、ゆっくりとわたしをベッドに横たえた。そして優しくわたしの髪を撫でる。

「やっと全部俺のものだ」

 そう呟いた慶次さんは唇にキスをした。それは最初から激しいキスで、それまで頭の中で色々考えていたことを一瞬で吹き飛ばした。

 重なり合った唇。息継ぎのために離れたかと思うと彼の舌先がわたしの唇をなぞる。

 そして薄く開いた隙間から彼の舌が入ってきた。知識としては理解していたけれど、実際はどんなものか想像したこともある。

 しかし実際その時になった今、頭の中がしびれて彼のことしか考えられなくなる。体の奥にともっていた炎がどんどん大きくなっていく。
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