離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く

 顔を上げて懇願するわたしの耳元に、彼が唇を寄せてきた。

「ならないな。それにもうとっくに虜だ」

 囁くような声が妙に色っぽくてドキドキしてしまう。でも慶次さんはわたしのこういう反応を楽しんでいるみたいだ。

 完全に遊ばれてるなぁ。優しい慶次さんも好きだったけど、こういうちょっといじわるなのもいいかも。

「和歌と出会って、初めてわかったことがある」

「なんですか?」

「それは、人は簡単に恋に落ちるっていうこと」

 慶次さんがそっとわたしの手を握ってきた。そしてそのままゆっくり歩き出した。

「あの日、桜の花が満開だったの覚えてる?」

「覚えています。お見合いの日ですよね?」

「そうだ。見合いの話を受けた時から結婚については前向きだった。会って話をして、それでここで決心したんだ。和歌と結婚しようって」
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