離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
これまでいつも誰かの庇護のもとにいた。だからこんな形で慶次さんをわたしの人生に巻き込んでしまった。
「自分の足で立って、きちんと生活できれば、きっと祖父も安心してくれるでしょ?」
「確かに、そうだろうけど。家を借りるにも保証人が必要だし、それに就職先では住宅手当がいくら出るんだ?」
「手当、ですか?」
ただこの部屋を出てひとりで暮らすことしか考えていなかったわたしは、その手のことを調べていなかった。さっそく世間知らずが発動してしまった。
「和歌、こんな状態で君と別れるのは心配だよ」
「それは……ごめんなさい」
「あやまらなくていい。大学生なんてみんなそんなものだ。これから覚えていけばいい。だからその手助けを俺にさせてくれないか」