離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
それから三日後。わたしは不動産屋に慶次さんとふたりで出向いた。ネットで見たよさそうな物件の内覧をするためだ。
慶次さんの運転で不動産屋まで向かう。
昼間の道路は少し渋滞していて、約束の時刻のぎりぎりに到着しそうだ。
「慶次さん、本当に無理しないでね」
「別に無理なんかしてない。うちの社員は優秀だから俺ひとりいなくてもどうにかなる」
彼はそう言うけれど、実際は山のような仕事を抱えているに違いない。七尾さんや射水さんに無理を言って、この時間を確保したのではないかと推測する。
「ふふふ、後でわたしが射水さんに叱られちゃったりして」
「気になっていたんだが、和歌はいったいいつ射水と連絡先の交換をしたんだ?」
慶次さんはなぜだか不満そうだ。
「いつっていうのは思い出せないんですけど、結構前ですよ。出会ってすぐくらい?」
実際に射水さんと連絡を取ったのは、彼が酔っ払ったあの日だけだ。
「気に入らないな、俺の許可なしに」
ハンドルを握り、前を向いたまま彼は不服そうな顔をした。
「でも、そのおかげでこの間は助かりましたから」
「まぁ、それはそうかもしれないが」